65歳までのiDeCo加入、積み立て、運用だけでなく、受け取り時の税負担軽減にも

今回は法改正前に60歳になってしまうという方の例を取り上げましたが、来年2022年5月以降に60歳に到達をされるiDeCo加入者の場合、会社員・公務員の方であれば60歳に到達時点で再加入等の手続きは不要です。60歳前と同様の積立が60歳以降も続いていくことになります。自営業やフリーランス、そして専業主婦の方は60歳の時点で国民年金被保険者の資格を喪失しますので、いくつか手続きが必要です。この例については次回にでも取り上げてみたいと思います。

60代前半にiDeCoに加入すると 老後資産を積み増すことができますし、積立をしている間は掛金の所得向上というメリットを5年間享受することができます。再雇用で報酬が下がり、例えば課税所得が200万円だったとしても、毎月2万3千円の積み立てをすると、所得税と住民税合わせて年間5万5200円、税負担が軽減されます。これが5年間ですから28万円ぐらいの税メリットを受けられます。大きいですよね。

さらに、加入年数が増えることによって一時金で受け取る際の税金がかからない枠、退職所得控除も大きくしていくことにもなります。iDeCoの加入期間が 20年以上ある方であれば年間70万円が増えていきますし、20年に満たない方の場合でも年間40万円、5年トータルでは200万円退職所得控除が増えることになります。公務員の場合、60歳までのiDeCoの加入期間は、退職一時金を受け取る際に消化してしまうことが多いのですが、60歳以降の加入年数によって積みあがる、退職所得控除(5年加入ならば200万円~350万円)はiDeCoを一時金受け取りする際に利用することができます。つまり、60代前半も加入することでiDeCoを受け取る際に、税負担を軽減して受け取れる可能性も拡がるということです。

60代も会社員・公務員として働くのであれば、法改正を活用してiDeCoで老後資産づくりのラストスパートをかけてはいかがでしょうか。