元本の一部が取り崩されている!? 分配型ファンドには注意

投資信託で運用が上手くいくと利益が得られ、基準価額が上がって売却した場合に売却益が得られますが、ファンドの決算(年1回以上)が行われる際、運用実績によって分配金が受けられるものもあります。毎月決算・分配するファンドもあれば、半年に1回や年に1回決算・分配するファンドもあります。

しかし、その分配金の受け取りには注意点があります。まず、「普通分配金」と「特別分配金」の違いの理解が必要です。分配金は信託財産から支払われますが、その分配落ち後に基準価額が下がり、それが個別元本(投資家個々の平均取得価額)を上回る場合、分配金は普通分配金として受けられます。普通分配金は利益となっている部分ですので、その普通分配金の利益については課税対象となります(ただし、NISAの枠内で投資すると非課税)。

一方、特別分配金は分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る場合に、下回った分が支払われるものとなります。これは元本払戻金となっています。特別分配金は元本を一部取り崩すことになり、利益の部分ではないため、元々非課税です。

同じ分配金という名前でもそれぞれ大きく意味が異なり、両者の違いをまず整理することが大切です。

信託財産から分配金の支払が行われた結果、純資産総額が減り、最終的に基準価額が下がるため、分配の頻度が高いほど、基準価額が下がる回数も増えることになります。もし、投資信託で長期投資を行うにあたり、運用する純資産総額が減るとなると、その後将来の運用成果に影響が出るでしょう。

自己資金で無理のない範囲で投資するのであれば、運用中に分配金を受け取らなくとも、手持ちの現金や預貯金の心配はないかと考えられます。分配金なしのファンドを選ぶか、分配金ありでも年1回などその回数が少ないファンドでよろしいのではないでしょうか。

投資信託の購入の際は目論見書が交付されます。投資判断のための重要事項が記載されていますので、確認した上での購入が大切です。また、投資信託の保有中は運用実績、今後の運用の方針等を記した運用報告書が交付されますので、投資期間中の状況の把握も可能です。

今後、お子様も学校で資産形成や金融商品について習うようになりますし、親子で資産形成のことを考える機会が増えると良いですね。

まとめ
●投資信託を複数本持つことで、投資先を分散させよう
(あるいはバランスファンドという手段もあり)
●投資信託の売却益を阻む要因は、手数料と特別分配金(分配型の場合)。ファンド選びの際、念入りにチェックを