政府が2050年の実現を目指す脱炭素社会など、国際的に環境問題への取り組みが進められている。民間の企業にとっても、今やSDGsやESGに配慮した事業は投資家からの賛同を得るためにも欠かせない課題だ。
そんななか、グリーンボンドと呼ばれる環境債の需要が高まりつつあるのをご存じだろうか。
この記事ではグリーンボンドの特徴や投資活動への関わり、需要が増したために発生したグリーニアムという現象についても解説していく。
グリーンボンドとはどんな債券か
グリーンボンドとは行政や民間企業が、環境問題の解決や抑止を目的とする事業の必要資金を集めるために発行する環境債の一つだ。
地球温暖化をはじめとした気候変動の緩和や適応、自然資源や生物多様性の保全、汚染対策に関する事業に資金用途が限定されるという特徴を持つ。また、環境問題に取り組む事業は総称してグリーンプロジェクトと呼ばれる。
例えば、以下のような事業がグリーンプロジェクトとして挙げられる。
1.太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー関連事業
2.断熱に優れた住居やグリーンビルディングの建設など、エネルギー効率改善に関する事業
3.温室効果ガスの削減や廃棄物の発生など汚染防止及び抑制に関する事業
4.電気自動車やハイブリッド自動車、省エネ車両の導入などクリーン輸送関連事業
これらはあくまで代表的な事例だ。環境への取り組みは幅広い分野にまたがるケースも多い。そのため、後述するがグリーンボンド発行の際は事業目的が環境に配慮しているか、審査が行われることもある。
グリーンボンドという名前が世界で初めて使われたのは2008年のこと。国際機関である世界銀行によって発行された。一方、日本での発行は2014年、政府系金融機関である日本政策投資銀行によるものが最初だった。
2020年時点の国内のグリーンボンド発行実績は1兆170.2億円。2014年から2021年9月時点までの累計は3.5兆円となっている。発行額は年々増加傾向にあり、市場の注目が高まっているのがうかがえる。
国内企業などによるグリーンボンドの発行実績