ニューヨーク証券取引所に上場、S&P500構成銘柄でもあるインベスコとはどんな会社?

インベスコは2024年3月末時点で250兆円超(1.6兆米ドル、151・345円/米ドルで換算)の資産を預かり、世界20カ国以上においてグローバル市場で培った独自の運用力を結集したさまざまな投資商品・サービスを提供しています。

米国アトランタに本社を構え、ニューヨーク証券取引所に上場しており、S&P500の指数構成銘柄でもあります。世界の各拠点で働く従業員数は8000人を超え、うち運用プロフェッショナル800人とともに顧客の投資目標達成のために日々尽力している資産運用会社です。

運用資産の国・エリア別の内訳は、北米72%、アジア14%、欧州14%と、本社がある北米ビジネスのシェアが高くなっています。顧客はリテール(一般投資家)で67%を占め、機関投資家(金融機関、年金基金、年金運用コンサルティングなど)は32%。各国で銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスを提供するリテール向けの顧客割合が多くなっています。

一方で、世界有数の機関投資家や年金基金などの預かり資産を株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広く運用する機関投資家ビジネスにも強みがあり、バランスのとれたビジネス基盤を保持しています。

有力企業との統合で戦略バリエーションを増やし、業容を拡大

インベスコは複数の企業との統合を重ね、多様な運用会社の良い面を取り入れながら拡大してきた歴史を有します。そのルーツは1930年代の英国にあります。1929年から始まった世界大恐慌の影響が世界に広がり、その後、英国経済に回復の兆しが見え始めた1935年12月、後にインベスコと統合するH・ロテリー社(後のブリタニア・グループ)が設立されました。

一方、米国の「インベスコ」は1978年、シチズンズ・サザン銀行の運用部門が独立し、アトランタに新たな会社を設立した際に誕生した名前です。創立者チャールズ・ブレディと8人のパートナーで案を出し合い、〝Invest〞(インベスト、投資)と〝Company〞(カンパニー、会社)を組み合わせて〝インベスコ (INVESCO)〞としました。

当時の運用資産は4億米ドルでしたが、インベスコをさらに世界へ広く展開していきたいと考えていたチャールズ・ブレディが、英国ブリタニア・アロー社(ブリタニア・グループ)へインベスコ株式の45%を売却し、業務提携によって海外での事業展開を加速させていきました。

創立者チャールズ・ブレディ氏

1990年代に入り、債券、不動産、バンクローン(銀行融資)などさまざまな分野で強みのある企業との統合を進め、これまで運用していなかった戦略のバリエーションも増やしながら事業を拡大していきます。

その後も、日本における全公募追加型投資信託の中で2023年(年間)の純資金流入額が第1位(QUICK資産運用研究所調べ)となった「世界のベスト」の運用拠点である、英国のパーペチュアル社と2000年に統合したほか、2006年にはETF(上場投資信託)運用会社パワーシェアーズ(NASDAQ100連動のETFであるQQQを運用)を取得するなど拡大していき、今日に至っています。