アワードの結果をファンド選びに役立てるポイント
話をファンドアワードに戻そう。実は、アワードの具体的な定量評価プロセスの開示の度合には各社で濃淡がある。特に先述した「各社独自の改良」部分については、世界的に見ても詳細が開示されているケースは少ない。一定の透明性の確保は必要だが、この各社の評価基準の違いこそが投信評価会社の心臓部でもあり、すべてを開示しろというのは酷といえよう。
では、個人投資家はどのようにファンドアワードの結果を活用すればよいか。重要なのは、各社の選考プロセスを事細かに突き詰めることではなく、受賞ファンドの傾向を把握することである。先述した各社のアワードを「総なめ」にしているファンドがあるなら、まずはそこに着目してほしい。定量評価の基準に多少の違いがあっても、複数社で優秀ファンドの称号を得ていれば、そのファンドは該当のカテゴリーで頭1つ2つ飛びぬけている可能性が高い。
また、複数年にわたり連続でアワードを受賞しているファンドに着目するのもよいだろう。この「複数年受賞」には2つのパターンがある。
1つは、例えば2018年、2019年、2020年など毎年連続でアワードを受賞するパターン。そしてもう1つは、リッパーやR&Iのように同じ年のアワードで、1年、3年、5年、10年など複数期間の優秀ファンドに選出されるパターンである。いずれも、良好なパフォーマンスが一過性のものではないということを裏付ける一つの目安となり、ファンド選びの参考にできるだろう。
ファンドアワードはあくまでも過去の運用実績に基づいた評価のため、結果だけを過信することは禁物だ。とはいえ、長年投信評価に携わってきた身としては、「過去の成績は将来を保証するものではない」と切り捨ててしまうのも、またもったいないと思ってしまう。実際に長期にわたって安定した成績を収めている「超」優良なファンドは、何かしらのアワードを受賞しているケースが多いからだ。ファンド選びに迷っている方は、本稿でご紹介した活用法を銘柄選びにぜひ役立ててほしい。