900万円に向けて、今からどのようにお金を積み立てるか

さて、大学費用900万円のうち、今からいくら分を積み立てればよいか?という事ですが、それを考えるにあたっては、まずはお子様が大学に入学する頃の家計収入を考える必要があります。

お子様が大学入学する頃、内野さんは64歳、奥様は61歳です。お二人とも65歳まで働くと考えられますが、この頃になると今より収入減が予想され、学費はもちろん、毎月の仕送りも、その時の収入から捻出するのが難しいと思われます。

したがって、全額今から準備しておく方が安心です。1ヵ月あたりの積立額は900万円÷ 17年÷ 12ヶ月=4.4万円です。大学費用が必要になる時期まであと17年あります。預金で積み立てをしても良いですが、17年という長い時間を味方につけることができますから、積立投信でお金を運用しながら資金を作っていくことも選択肢として取り入れるといいですね。

方法としては、つみたてNISAが活用しやすいですが、内野さんの場合、すでに一般NISAで株式投資を行っています。今回のご相談にも一般NISAは続けたいけれど、教育費のためにつみたてNISAに変更した方が良いのかという疑問もありますね。

まず、つみたてNISAとNISAはどちらか1つしか選択できない上、株式投資は不確実性が高いため、教育資金準備方法としては不向きです。現在、株式投資用として使っているお金は約100万円。100万円という枠の中で株式投資を趣味として楽しむのは良いことだと思いますから、このまま株式投資を続けてみてはいかがでしょうか。教育費の準備としては、内野さんの場合、iDeCoが使えます。

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)のコンセプトは老後資産形成のための制度で60歳にならないと育てた資金を受け取ることができませんが、お子様が大学入学時には内野さんは60歳を超えていますから、いつでもiDeCoから資金を引き出すことができます。さらに、つみたてNISAよりiDeCoのほうが、税制優遇が大きいですから、積立投信を始めるならiDeCoが最適です。

どの投資信託で運用するかについては、内野さんは現在、株式投資をされリスク許容度が高めのようですし、投資期間も長いですから株式投資の割合を多めに積極的な運用を行うと良いですね。

なお、iDeCoの場合、積み立ての上限金額があります。内野さんの場合、月2.3万円が上限のため、積み立て必要額4.4万円には、あと2.1万円足りません。足りない分については保険や預金、奥様がつみたてNISAの口座を開いて、活用するという方法があります。

大学費用全額を積立投信で計画するのは、ややリスクがありますから、積立必要額の3分の1程度を保険や預金、残りを積立投信にすると、リスク分散にもなります。

***

高齢出産夫婦は、現役引退までの年数が短い分、教育費の心配をされる方は多いですが、早めに対策をとることで無理なく資金計画を作ることが可能です。内野さんの早めの取り組みが資産形成成功の元となるでしょう。