「会社のことしか考えない」果たしてそれが正しいのか? 疑問からたどり着いたIFAという仕事

私自身、A証券もグループ会社の銀行もお客様のためではなく、会社のことしか考えていない実態に対し、非常に疑問やジレンマを感じていました。

先述の新興国債券や仕組債関連のクレームに関しては、お客様がどんなにひどい損を被っていても「必要事項は説明しています」の一点張りでクレームに応じません。私自身は、銀行・証券からそういった商品を提案されなければ大損することもなかったのにと申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、損失補填ができるわけでもありませんし、「すいません、申し訳ございません」しか言えません。お客様それぞれ運用で叶えたい夢や人生があるのに金融機関の都合でそれをぶち壊す、それが果たして正しいだろうかと思うようになりました。

そんな日々の中、インターネットの記事でIFAの存在を知りました。欧米ではすでに普及しており、独立して公平中立な立場からアドバイスできるというのは、今の日本に必要だと強く思い、転職活動をしました。今では「家族や友人に紹介できるサービスのみを提供する」をモットーに、日々、運用にお悩みをお持ちの方のお手伝いをしています。証券会社時代は、商品を買っていただいたあとに後ろめたい気持ちが残ることが多かったですが、今では全くありません。ドラマ『半沢直樹』で主人公が言っていた、「仕事は客のためにするもの。ひいては世の中のためにするもの※2」という言葉のように、お客様と正々堂々向き合えているからです。
※2…ドラマの第四話に登場したセリフ。

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今回ご紹介した事例は、あくまで私が勤務していた当時の話です。今はどうなっているかはわかりませんが、今後、皆さんが納得感のある資産運用をしていただくうえでの参考になれば幸いです。