大学卒業後に大手証券へ入社、富裕層向けの資産コンサルタントとして活躍。その後、お客さまのためのコンサルティング、という理念を実現するべく、欧米では当たり前となっている、独立金融アドバイザリー会社のアンバー・アセット・マネジメントに加わる。資産運用でお困りの個人投資家へ、独立・中立的な立場からアドバイザリーサービスを提供している。
皆様はじめまして。アンバー・アセット・マネジメントの石原です。私は前職で、某証券会社(以下、A証券)に勤務し、関東2店舗、四国1店舗の計3店舗を経験しました。特にそのうちの1店舗はグループ(以下、Bフィナンシャルグループ)が掲げている“銀証連携※1”のモデル店舗であったため、銀行員と連絡を密に取りながら富裕層のコンサルをしていました。
※1…銀行と証券会社による業務・サービスの連携のこと。
最近、ドラマ『半沢直樹』がヒットしています。主人公・半沢が東京中央銀行から東京セントラル証券へ出向したあとの物語です。そんな証券会社の実態はどうなっているのか。リテール分野ではありますが、私の経験をもとにお話ししたいと思います。
『半沢直樹』のような銀行VS証券の対立はなく、連携していた
Bフィナンシャルグループが掲げている「銀証連携」とは、リテール部門においては資産運用に興味がある銀行のお客様をA証券に紹介し、運用商品の提案をA証券の担当者が行うというのが中心的でした。銀行のお客様にA証券の口座を開設していただき、Bフィナンシャルグループのお客様になっていただくことで、グループとして総合的な金融サービスを提供することを目的としています。銀行から証券へ紹介する際はお客様に情報共有同意書をご記入いただき、銀行と証券の担当者間でお客様情報を共有しながらコンサルティングをします。
ドラマ『半沢直樹』では銀行と証券は敵対していますが、個人営業部門であるリテールはむしろ連携し、ともに業務を進めています。
ここまでのお話だと健全な業務運営がなされているように思えるかもしれませんが、実態は“敵対”こそないものの、会社のことしか考えていない、顧客をないがしろにした営業をしていたと言わざるをえません。
例えば商品提案の仕方です。銀行から紹介されるお客様のほとんどは、銀行員からA証券の『個人向け国債キャンペーン』を提案されて、A証券の担当者の話を聞きに来ます。しかし、実際にA証券が提案するのは外国債券や仕組債、投資信託といった国債に比べるとリスクの高い商品です。