SBI証券の投信売れ筋ランキングの2024年10月のトップ4は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、「SBI 日本株4.3ブル」だった。このトップ4は2024年7月以来、4カ月連続になっている。10月の特徴は、第6位にトップ10圏外から「Tracers S&P500ゴールドプラス」がジャンプアップしたことにある。また、前月は第5位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第7位に後退し、第5位には「iFreeNEXT FANG+インデックス」が浮上した。そして、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月 Hなし 予想分配」が7月以来、3カ月ぶりにトップ10に食い込んだ。
◆史上最高値を更新した米国株価の行方は?
10月は18日まで米国株式市場はダウ平均やS&P500指数が史上最高値を更新し、NASDAQ総合指数も史上最高値に迫る水準まで値上がりした。その後、トランプ元大統領が大統領選で勝利すると過度な財政出動によって国債の増発(=債券市場の圧迫要因)などが行われ、金利に上昇圧力がかかり、そのためにFRBの利下げスピードが鈍化するのではないかという思惑などから株式市場が伸び悩み、10月の後半からは企業の決算発表の本格化によって好業績は株高、業績が期待に届かない場合は株価下落という展開になった。結果的に10月末の株価は、9月末比で1%程度下落して終わった。9月末まで史上最高値を更新した株価が、当面の天井を打ったのかどうかが今後の展開で試されることになる。
SBI証券の売れ筋をみる限りは、米国株式市場への期待は、依然として強い。第5位に浮上した「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、「Meta(facebookの持ち株会社)」「Amazon」「Apple」「Netflix」「Microsoft」「Alphabet(Googleの持ち株会社)」の6社に加え次世代テクノロジーを象徴する大企業4社を加え合計10社を構成銘柄としたインデックス。これまでの米株指数の史上最高値更新をリードしてきた大型ハイテク株を象徴する銘柄群に集中投資するファンドだ。「割高」といわれながらも、株価が崩れることはこれまでなかった。このファンドが売れ筋として順位を上げているのは、依然として米国株式市場をけん引する大型ハイテク株は崩れないという見方が強いということだろう。
もっとも「FANG+インデックス」は、その時々の市場の変化を見極めて構成銘柄を3カ月ごとに柔軟に入れ替えている。2024年9月には「クラウドストライク・ホールディングス」と「クラウドナウ」が新規採用となり、「テスラ」と「スノーフレーク」が外れた。「エヌビディア」と「ブロードコム」は継続採用になっている。株価の勢いが衰えた銘柄は潔く切り捨てて、新たな株価上昇銘柄を組み入れることによって、指数としての「若さ(活きの良さ)」をキープしている。それでも「FAANMG」の6銘柄は入れ替え対象にはならない。「FANG+インデックス」の先行きへの強気の見方には、これまで市場をリードしてきた「一般消費財・サービス」と「テクノロジー」の株価が引き続き堅調に推移するだろうという期待があると考えられる。