投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券。
楽天証券の投信売れ筋(買付金額)ランキングの2026年1月のトップ5は前月と同じでトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、第2位以下は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」、そして、「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。前月第7位だった「楽天日本株4.3倍ブル」が第6位に上がり、トップ10圏外から「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第8位に、「三菱UFJ純金ファンド」が第10位にランクインした。
3年連騰インデックスファンドはターニングポイント?
楽天証券の売れ筋ランキングの上位は主要な株式インデックスに連動するインデックスファンドだ。トップ5は、新興国を含む全世界株式を対象とした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に連動するインデックスファンドが2本、米国株式の代表的な株価指数である「S&P500」に連動するインデックスファンドが2本、そして、米国のハイテク大手10社で構成され圧倒的なパフォーマンスを誇る「FANG+」インデックスファンドだ。これらインデックスファンドは、2023年から3年間にわたって基準価額が2ケタで成長してきた。
たとえば、「MSCI ACWI」に連動をめざす「オルカン」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)は、2022年の年間騰落率はマイナス5.58%だったが、2023年は30.42%、2024年が32.48%、2025年は20.51%という成績だった。3年で累計108.22%という上昇率だ。米国「S&P500」に連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(設定は三菱UFJアセット)は、2022年の年間騰落率がマイナス6.09%から、2023年に34.63%、2024年に40.78%、2025年が15.66%という成績で3年累計では119.21%。そして、米「FANG+」に連動する「iFreeNEXT FANG+インデックス」(設定は大和アセットマネジメント)の年間騰落率は、2022年にマイナス31.44%と大きく落ち込んだが、2023年に110.14%と大幅に挽回し、2024年に70.75%、2025年に16.64%となり、3年間の累計は318.51%と元本が3年間で4倍以上に成長している。
2026年も年初に「MSCI ACWI」、「S&P500」、「FANG+」に連動するインデックスファンドの人気が続いたのは、過去3年間の成功体験に後押しされた部分が小さくないだろう。3年続けて2ケタ成長してきた投資対象だけに、「上がって当たり前」という感覚にもなってしまうだろう。ただ、各種のインデックスファンドが多く設定された2017年以来過去8年間ほどを振り返ると、2018年と2022年にマイナス成長の1年がある。2019年から2021年、2023年から2025年と3年連続で値上がりした後、4年目に下落するというパターンだった。現在、米国「S&P500」ベースでは2026年の企業業績見通しは15%超の増益決算が予想されており、株式市場がマイナスに落ち込む要素は小さいといわれている。
しかし、たとえば、2022年にマイナス31.44%という大きな下落を経験した「iFreeNEXT FANG+インデックス」の場合、過去3年の累積リターンが318.51%に対し、2022年を含む過去5年では累積リターンが276.82%と、期間が延びたにもかかわらずリターンが劣化する結果になっている。2ケタを超える大きなマイナスを経験すると資産の運用効率が悪くなる傾向がある。「iFreeNEXT FANG+インデックス」のようにわずか10銘柄に集中投資するファンドの場合は、500銘柄に分散する「S&P500」、また、米国だけでなく新興国も含めた約2500銘柄に分散する「MSCI ACWI」、あるいは、「国内株式」や「純金ファンド」など投資先が重ならないファンドへの分散投資を行って資産の変動率を抑制することを検討するタイミングなのかもしれない。
2026年1月のランキングで「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」(設定は三菱UFJアセット)や「三菱UFJ純金ファンド」(同)などがトップ10にランクインしたのは、従来の米国大型テクノロジー株に過度に集中した投資(「FANG+」や「S&P500」の構成銘柄の組み入れ上位など)について「分散」の意識が働いている部分もありそうだ。もちろん、2025年のパフォーマンスを振り返ると、年率リターンは「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が25.28%、「三菱UFJ純金ファンド」が64.64%と、足元のパフォーマンスが「FANG+」や「S&P500」を上回っていることも両ファンドへの注目度を高める要素になったことは間違いない。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

