複数のアドバイザーで協議し、ベストな提案を検証

当社では、提案の内容を担当アドバイザー1人で決定することはなく、必ず複数のアドバイザーでベストな提案を検証します。意見が分かれることも多いのですが、内田さんの場合は、投資用不動産は全部売却し、まずは過大な負債を解消。キャッシュフローを改善した上で、投資信託への積立投資を柱とする資産運用へ移行する事が最善であると全員の意見が一致しました。

ただ、彼女は「全部売ってしまうのは不動産業者の営業の人に申し訳ない。また、友達と一緒に購入したので、自分だけ全部売るのも気が引ける」と、全売却はしたくない様子でした。私たちの考えるベストな選択肢とは異なりますが、一番大切なのはご本人の意志。一部を売却するだけでも事態は十分好転するので、3件のうち2件を売却することにしました。当初300万円ほどの損失を想定していましたが、彼女にあっせんした不動産業者が金融機関の高い担保設定を理由に良い価格で買い戻してくれたことで、実質的な損失額は100万円を切りました。

積立・一括を組み合わせ、長期で続けられる構成に

ローン負担を大幅に軽減できたところで、投資信託への積立を中心とした資産運用に移行しました。iDeCo(個人型確定拠出年金)に2万3000円、つみたてNISAに約3万3000円と、税制優遇が受けられる枠を上限まで活用し、さらに特定口座で1万5000円も追加して、月々7.1万円の積立投資をスタートしました。また、シングル世帯にはオーバースペックとなっていた生命保険を解約し、ここで浮いた分も積立投資に回しました。

これだけ積み立てできれば、定年時には2000万円以上の資産になっていることが期待できます。商品は全世界の株式に投資できるインデックスファンドの中から、コストの低い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選びました。

一方、預貯金がわりに持っていたという養老保険は、予定利率がそれほど高くなかったので解約し、返戻金の500万円はファンドラップに投じることにしました。まとまった金額の一括投資は、市場の変動にダイレクトにさらすわけにはいきません。当社のファンドラップは、オルタナティブ戦略を中心とした、市場インデックスと相関性の異なるファンドを組み合わせて価格変動幅を抑えることに力点を置いています。コストを抑えることも重要ですが、それ以上に安心して継続保有できる「仕組み」を採用してみてはどうかとアドバイスしました。

今は世界的な低金利で債券の利回りは低い上、債券も株と一緒に暴落することも多く、単に株と債券を組み合わせるだけでは、十分な分散効果が期待できません。金融ショックや暴落は今後も何度となく来るでしょうし、動揺することなく長く続けてもらうために、下落幅を抑える戦略の活用が必要だと判断しました。

相談後の資産構成

こうして一連の手続きをすべて終えると、彼女は晴れやかな表情でこう言いました。「老後の備えというと、不動産しか見えていなくて無理をしてしまったけれど、備える手段はいろいろあるんですね。自分に合ったやり方が分かってスッキリしました」。

内田さんのおっしゃる通り、老後の資産づくりとひと口に言っても、その人に合った手段やアプローチはさまざまです。「この商品で解決」ではなく、「解決のためにこんな手段や方法がある」といった選択肢をご提示しながら、ご自身に合った資産運用をお手伝いできるのが私たちIFAのメリットと言えると思います。また、内田さんとは、2020年2月に初回の面談をして以来、6回ほど面談を重ねていますが、まさに「コロナ禍」のただ中だったため、多くはオンライン会議システムを活用しました。こういった点も含め、さまざまな面で柔軟に、お客さまの「最適」を目指して活動していきたいと思います。

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