日銀の展望レポートの物価見通しは次回上振れ必至
いずれにせよ、10月の東京CPIが示した実勢の強さは、日本銀行が10月の金融政策決定会合で公表した「経済・物価情勢の展望(2025年10月)」(通称「展望レポート」)の物価見通しが、2026年1月の次回展望レポートで上方修正される可能性が高いことを示唆しています(図表4)。
10月「展望レポート」で中央値が前年比2.8%となっている2025年度の消費者物価指数(除く生鮮食品およびエネルギー)ですが、東京CPIを参考に筆者が推定した見通しは3.2%です。一方、展望レポートでの中央値が2.0%の2026年度の同指数は、輸入物価がさほど上昇しないケースで2.2%、円安などによって上昇するケースで2.6%となるとみています。
一方、消費者物価指数(除く生鮮食品)に関しては、日銀の中央値が2.7%の2025年度が2.9%、中央値が1.8%の2026年度が、輸入物価がさほど上昇しないケースで2.0%、輸入物価が円安などによって上昇するケースで2.4%と計算できます(なお、ガソリンの暫定税率廃止などを勘案していないため、あくまで参考値という位置づけになります)。
<図表4 10月「展望レポート」の見通し>
以上のとおり、筆者は日銀の展望レポートの物価見通しが、少なくとも消費者物価指数(除く生鮮食品およびエネルギー)については来年1月の展望レポートで上方修正される可能性が極めて高いとみていますが、11月21日に発表される10月の全国CPI、11月28日に発表される11月の東京CPIで、その蓋然(がいぜん)性がもう少し明らかになるはずです。
仮に、12月18~19日に開催される金融政策決定会合までに、1月展望レポートの物価見通しの上方修正がほぼ確実という状況になった場合、日銀政策委員による利上げに向けた情報発信が活発化するかもしれません。日銀の次回利上げは12月か来年1月か、今後の為替動向とともに、物価指標にも注目する必要があります。
