10月の東京CPIが予想を超える強さとなりました。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数の季節調整済み前月比は、消費税率が引き上げられた2014年4月を除いて最大の伸びとなり、日銀「展望レポート」の物価見通しは上振れ必至の状況。次回利上げは12月か来年1月か。為替動向とともに今月21日に出る10月の全国CPIに注目です。

※本稿は、10月8日に「トウシル」に掲載された人気エコノミスト愛宕伸康氏の記事「10月東京CPIの衝撃、想定を超える強さに12月利上げの可能性高まる?​」を抜粋・編集しています。

10月東京CPIの前月比0.7%は、比較可能な2010年以降で事実上最大の伸び

10月31日に総務省が発表した10月の東京都区部消費者物価指数(東京CPI:中旬速報値)が予想を超える強さとなりました。総合、生鮮食品を除く総合(コア指数)、生鮮食品およびエネルギーを除く総合(コアコア指数)ともに前年比2.8%となり(市場予想2.6%)、いずれも9月から0.3%上振れました。

東京都による水道基本料金無償化の反動が出たとの一部報道もありますが、実際には価格改定月に当たる10月に多くの企業が値上げ改定を実施した影響が予想以上に出た可能性が高く、その強さは総務省が試算している季節調整済み前月比から見て取れます(図表1)。

<図表1 東京都区部消費者物価指数(生鮮食品およびエネルギー除く総合)の前月比>

(注)総務省による季節調整済み前月比。 (出所)総務省、楽天証券経済研究所作成

図表1はコアコア指数の季節調整済み前月比ですが、2025年10月の0.7%は、比較可能な2010年以降で、消費税率が引き上げられた2014年4月を除き最大の上昇幅となっています。

これを受け、今月21日に発表される10月全国CPIも、総合とコアが9月の前年比2.9%から3.1%へ、コアコアが前年比3.0%から3.2%へそれぞれ上振れる公算です(図表2)。

<図表2 全国と東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品およびエネルギー除く総合)>

(出所)総務省、楽天証券経済研究所作成