為替はさらなる円安を覚悟?~日銀利上げへのメド、1ドル=155円~

 ドル/円相場は、高市氏勝利後に円安方向に大きく振れ、10月10日には1ドル=153.07円と、約8カ月ぶりの円安水準となりました(図表2)。その後、14日には一時1ドル=151円台に戻しましたが、15日の午前0時現在、1ドル=152円前後で推移しています。

<図表2 ドル/円相場の推移>

出所:Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 なお、あくまで筆者の印象ですが、14日に日経平均株価が1,000円以上の急落となった割に円高への戻りがそれほどでもなく、円安のモメンタムが強まっているように感じられます。図表2からは、大ざっぱに日銀が意識している為替水準として1ドル=155円がイメージされる中で、それを意識させる領域に入りつつあるとみています。

 しかしながら、「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と規定する日銀法第4条を踏まえれば、まだ発足していない新政権と10月の金融政策決定会合(10月29~30日)までに「十分な意思疎通」を図るのは至難の業といえます。

 従って、10月利上げは見送りとなる公算が大きくなったとみざるを得ませんが、そうなると次回利上げは早くて12月の金融政策決定会合(18~19日)、それまでかなりの間が開くことになります。その間、もし政局が混迷し、政党間の連携を模索する中で財政拡張路線が一層強まるようなことになれば、相当程度円安が進むことを覚悟しておかなければなりません。