今回のテーマは『「海外の利下げでも円安」のなぜ?』です。米国やカナダが利下げに踏み切ったものの、ドル円、カナダドル円ともに円安となった背景を解説します。
今週のドル円相場を振り返ります。FOMCまでドル安が先行し、利下げの決定直後に145円台半ばまで下落する場面もありました。ただ、市場が織り込む利下げ幅が示されなかった為、持ち直しに転じ、ドル円は148円台を回復しました。
一方、予想通り政策金利の据え置きを決めた日銀金融政策決定会合では、二名の審議委員が反対したことや来年初よりETFとJ-REITの売却開始を決定したことを受け、10月の利上げ観測が浮上し、株安と円高が進みました。

但し、記者会見で植田総裁が依然として利上げに慎重な姿勢を示した上、ETFの売却も完了するまで100年以上を要する緩やかなペースであることから、次第に株安・円高の動きが反転しました。現在、ドル円は148円近辺まで反発しています(スライド 2)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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