「農林水産」「電気・ガス・水道」「職業紹介・労働者派遣」等が増益率大幅上方修正

続いて、経常利益計画から増益率の上方修正が期待される業種を見通してみよう。結果を見ると、多くの業種で減益計画となっており、これはトランプ関税発動に伴う影響等が主因と推察される。

 

 

こうした中、経常利益の上方修正が目立つ業種は「農林水産」「電気・ガス・水道」「職業紹介・労働者派遣」「その他サービス」「繊維」等であり、特にトップ3業種はいずれも10%ポイントを超える上方修正幅となっている。なお「その他サービス」は廃棄物処理や自動車整備、機械等修理などが含まれる。

まず「農林水産」については売上高も上方修正されているため、コメなどを中心に価格転嫁が進んでいることが利益の上方修正に寄与している可能性がある。

また「電気・ガス・水道」や「繊維」は売上高計画が下方修正されていることからすれば、商品市況の落ち着きなどに伴う投入コスト減や業務リストラ等が寄与していることが推察される。

一方「職業紹介・労働者派遣」は増収増益計画になっていることからすれば、人手不足に伴う企業の人材獲得需要が想定以上に旺盛となっていることが予想される。

他方「その他サービス」は自動車整備や機械等修理が含まれていることからすれば、耐久消費財や資本財の価格上昇などから自動車買い替えや設備の更新サイクルが長期化することで修理の需要が増えていることが推察される。

なお、日銀が10月に公表する9月短観の業種別収益計画(大企業)は法人企業景気予測調査に比べて聞き取りのタイミングが若干遅いことから、直近の影響をより織り込んでいる可能性が高い。このため、9月短観における大企業の収益計画も四半期決算と今期業績見通しを読み解く手がかりとして注目したい。