金融環境:トランプ色強まる中、パウエル議長はやり遂げるか
トランプ大統領はクグラーFRB理事の後任(任期は来年1月末)に大統領経済諮問委員長(CEA)のスティーブン・ミラン氏を充てる人事を発表しました。自身の経済ブレーンをFOMCに送り込むことで早期利下げを確実なものとしたいようです。ミラン氏が9月FOMCまでに就任すれば、7月FOMCで利下げを主張したウォーラー理事とボウマン理事、更に、最近早期利下げ支持に転じたとみられるクック理事と合わせ、全7名の理事のうち少なくとも4名が9月利下げを主張すると予想されます。
トランプ政権の圧力に押されてFRBが早すぎる利下げ再開に踏み出す、との懸念があります。市場では、1970年代に当時のニクソン大統領の圧力に押されて利下げを実施し、その後の高インフレ時代を招いたアーサー・バーンズ議長下のFRB(1970年2月ー78年1月)との類似性が指摘されています。
NY連銀が開発したタームプレミアム算出モデル(ACMモデル、2013年改訂)によれば、1971年、1974年の利下げに対してタームプレミアムが上昇しインフレ加速を警告するサインを発しています(下図)。9月FOMCでFRBが利下げ再開に踏み切った場合、このタームプレミアムがどう反応するか注目されます。
2022年と2023年のジャクソンホール講演でパウエルFRB議長は、インフレファイターとして知られるボルカー元議長の回顧録のタイトルを引用し、「やり遂げるまでやり抜く(keep at it until the job is done)」という言葉で講演を締めくくりました。今年の同講演(8月22日)でパウエル議長からもう一度同じ言葉を聞きたいと願う市場参加者は少なくないとみられます。

関連リンク:https://www.resona-am.co.jp/market/report_s/2025/250820_m.pdf
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