主要マーケットの見通し:新興国市場

「5%前後」の成長目標達成が遠のく中国経済

中国政府は2025年の成長率目標を3年続けて「5%前後」で据え置きました。しかし、米中間の貿易摩擦が悪化するなか、その達成確度は昨年より著しく低下しているとみられます。

米トランプ政権が相互関税を発表後した4月2日以降、米・中間の関税引き上げの応酬が繰り広げられ、中国の米国製品の輸入関税率は125%、米国の中国製品の輸入関税率は145%まで引き上げられました。5月12日に米中間の合意で、米国の対中関税は暫定的に30%(90日間の停止期間後は54%)に引き下げられましたが、同水準(≒30%)は、第2次トランプ政権発足時の対中関税率=約20%を上回り、対米輸出を抑制する要因になると予想されます。2024年の中国の貿易黒字額の約3分の1は米国からであることから、対米輸出の縮小は純輸出の寄与低下を通じ、成長率低下に直結します。

他方、中国政府は3月全人代で採択した「より積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」を進めるほか、消費促進策を追加し、内需拡大に取り組んでいます。しかし、3月不動産開発投資額が前年比▲9.9%に落ち込むなど不動産市況は低迷が続く中、3月消費者信頼感指数は85.4と3年以上も分岐点の100を下回り続け、若年層の失業率も高止まりするなど、内需回復の兆しは依然見えない状態です。内(≒不動産不況)と外(≒米国との貿易摩擦)から下押し圧力がかかるなか、5%成長達成は極めて高いハードルと考えられます。

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■関連リンク https://www.resona-am.co.jp/market/report_s/2025/250520_m.pdf

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