主要マーケットの見通し:債券市場
米国債券市場の自警団はインフレ・財政を両睨み
米国10年国債利回りは、相互関税発表直後の4月4日に4%割れまで低下したあと急反発し、現在は、4.5%近辺で推移しています。4月4日以降の利回り上昇(全体で+0.48%)を要因分解すると、タームプレミアム主導(+0.48%)の上昇であることが分ります。要因としては、1)短期筋の裁定ポジション巻き戻し、2)リスクオフによる長期債売り、3)インフレ再燃懸念、4)財政悪化懸念、などが考えられます。足元の急上昇については、主に1)・2)の短期要因が大きく作用したとみられますが、この先は、3)・4)に起因する金利上昇に注意が必要です。
タームプレミアムは2024年後半に底入れし、足元は+0.7%前後と10年半ぶりの高さです。背景としては、深刻な財政悪化が意識され始めたことが挙げられます。2024年度の財政赤字/GDP比率は▲6.4%。この先も利払い負担が重くのしかかり、2035年度でも財政赤字は▲6.1%と高止まりし、公的債務残高/GDP比は戦後最悪の118.5%となる見通しです(図下段)。この議会予算局予測は、10年債利回りが4%弱で推移することが前提に置かれており、仮に長期金利が上振れた場合、米国の財政状況は一段の深刻なものとなります。
トランプ政権は長期金利の低位安定を最優先課題に掲げており、債券市場でもそれは評価されています。但し、2025年後半は、関税政策の影響が物価に表れ始める上、選挙公約である減税策の議会審議が本格化するため、3)インフレ再燃懸念と4)財政悪化懸念が高まりやすくなります。債券自警団がトランプ政権の政策運営にどう反応するか、注視が必要です。
■関連リンク https://www.resona-am.co.jp/market/report_s/2025/250520_m.pdf
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