2025年度の投資環境見通し:サマリー

株価上放れに必要なものはFRBのピボット(姿勢転換)

S&P500指数をはじめ主要株価指数の多くが、4月2日の相互関税発表前の水準を取り戻しました。トランプ大統領らが相場不安定化時に市場を落ち着かせる対応をとったことから、下値不安が後退。更に、英国、中国との関税協議が進展したことで買い戻しに勢いがつきました。ただ、株価が回復したことで、値頃感も薄れています。S&P500指数の予想PERは一時、過去10年の平均水準並みの18倍近辺まで低下しましたが、足元、再び20倍超に戻っています。この先、株価が持続的に上昇するためには、トランプ関税を巡る不透明感が払拭され、景気・企業収益の見通しが改善する必要があります。

当社では、年央にはトランプ関税を巡る不透明感がある程度払拭され、株価は持続的な上昇を再開するとみています(図メインシナリオ)。来年秋の中間選挙を良い経済状態で迎えるため、トランプ政権は、関税政策の早目の決着を目指していると考えられるためです。

株価が持続的に上昇するために、もう一つ必要な要件は、FRBの姿勢転換です。現行のFF金利は景気に対して抑制的な水準にあります。利下げが実現すれば、金融環境が緩和され、景気・企業収益見通しの改善につながると期待されます。

また、関税によるインフレ上昇が“一過性”であるとFRBが判断したことにもなります。FRBの姿勢転換によってトランプ関税を巡る不透明感は、“景気の下振れ” “インフレの上振れ”両面から払拭されることになり、持続的に株価が上昇する条件が整うと考えられます。

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