主要マーケットの見通し:債券市場

財政への懸念が燻る 日本の超長期国債市場

日本30年国債利回りは5月下旬に1999年の発行以来最高水準となる3.1%台まで上昇しました。10年国債利回りも約17年ぶりの高水準を付けるなど、長期・超長期債利回りの上昇が目立っています。分解するとリスクプレミアムの上昇が主な要因となっており(下図上段)、市場では財政悪化に対する警戒が高まっていることが覗えます。物価対策として野党を中心に消費減税などの拡張的な財政政策を求める圧力が強まるなか、7月の参議院選挙で与党が過半数割れとなり、財政赤字拡大の蓋然性が高まったことが背景にあるとみられます。

日本の財政に関し内閣府が8月に公表した新たな試算では、26年度にPB(プライマリーバランス)が黒字化し、公的債務残高の対GDP比は24年度の201%から10年後に173%に改善が見込まれています。ただ、これは賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行し、実質成長率が持続的に1%を上回る「成長移行ケース」の試算です。実質0%台半ばの成長が続く「過去投影ケース」では、同GDP比率は2034年度段階で202%に高止まりします。また、少子高齢化が今後一段と深刻化することを踏まえると、 この「過去投影ケース」も楽観的過ぎる可能性があります。

超長期債市場では、従来中心的な投資主体であった生命保険会社に代わって、外国人投資家の影響力が高まっています。国内株式市場同様、日本の債券市場もこれまで以上にグローバル基準で動くようになる可能性があり、長期・超長期債利回りの上昇は、それを示唆するものと言えます。今後、財政悪化に対する国内債券市場の感応度が高まると予想されます。

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関連リンク:https://www.resona-am.co.jp/market/report_s/2025/250820_m.pdf

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