パウエルFRB議長講演後の市場の反応

ところが、マーケットの反応は予想とは異なるものでした。そもそもパウエル議長の講演に向け、利下げ期待が後退し、前日から講演に向けて148円台後半までドル円が上昇していたのです。それだけに、パウエル議長が講演で実際には利下げをあまり示唆しないのではないか?との見方が台頭していた模様です。そのため講演後、改めて利下げを織り込む中、株式相場はこれを歓迎して大きく上昇した一方、長期金利の低下を受け、ドル円は約2円も下落しました(3ページ)。

 

もっとも、ここまでの利下げの織り込みの変遷をいる限り、この動きは行き過ぎと考えられます。例えば、直近で最も利下げの織り込みが高まったのは、ベッセント財務長官が9月FOMCにおける50bp利下げの必要性に言及した8月13日です。この時、市場は9月の利下げを107%も織り込みました。これは、25bpの利下げを完全に織り込んだ上、50bp利下げの可能性も7%織り込んだという意味です。また、年内の利下げ回数も2.6回を想定しており、ドル円は147円台前半まで下落していました。

一方、パウエル議長の講演後に利下げの織り込みが高まったとは言え、その程度はこの8月13日ほどではありません。それにもかかわらずドル円はその水準よりもドル安円高に振れているのです。