「世界のベスト」「オルカン」実際のパフォーマンスは…
では、実際のパフォーマンスを比較してみましょう。「オルカン」、「世界のベスト」などと愛称でここまで書いてきましたが、正式には「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「インベスコ世界厳選株式オープン」です。
後者については分配頻度、ならびに為替リスクの有無によって6つのコースが用意されていますが、ここで比較対象にするのは、最も純資産の大きな「為替ヘッジなし 毎月決算型」です。
まず運用実績です。
オルカンが設定されたのは2018年10月31日ですから、ここを起点にしたいと思います。なお、世界のベストに関しては、オルカンとの平仄をとるため、分配金込みの基準価額で比較します。
まず世界のベストから見てみましょう。2018年10月31日時点から、2025年7月28日時点の間で約2.6倍になった計算です。これはなかなか納得のリターンです。
では、オルカンはどうでしょうか。7年弱の間で、約2.9倍になっていました。
あくまでも7年弱という、それほど長期とはいえない期間での運用成果なので、さらに長期運用した時にどうなるのかは分かりませんが、少なくともこの7年弱のリターンを計測すると、インデックス運用はアクティブ運用に対して、優位であることが分かります。
では、下げ局面における抵抗力はどうでしょう。昨年8月と今年4月の株価急落時のパフォーマンスを比較してみましょう。基本的には急落前の高値から、急落時の底値までの分配金込み基準価額で計測してみましょう。計測期間は2025年3月27日から同年4月7日です。
この間の両ファンドの騰落率は、
オルカン・・・・・・▲12.88%
世界のベスト・・・・・・▲11.89%
さらに昨年8月でも比較してみましょう。計測期間は2024年7月11日から同年8月7日です。
オルカン・・・・・・▲14.98%
世界のベスト・・・・・・▲10.68%
両方の数字を比較しても、アクティブ運用はインデックス運用に比べて、下げ相場に強いことがわかります。
この程度の運用期間で結論を出すのは難しいのですが、ひとつ言えるのは、若い人が投資するならインデックス型が良いのかもしれません。下げ局面のリターンはアクティブ型に劣後しますが、ある程度の運用期間があれば、アクティブ型を凌駕するリターンが期待できます。
一方で、下げ局面に強いアクティブ型は、株価急落に直面した時、多少なりともディフェンシブな運用をしたい人に向いているかも知れないという点において、長期の運用期間を担保しにくい高齢者に適している可能性はあります。
とはいえ、株価急落時にはアクティブ型でもそれなりに下落しますから、高齢になったら無理をせず、リスク資産のポーションを下げるのが得策ということになります。