三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年10月の公募ファンドの純資産残高は約133兆6467億円で前月比約7兆7591億円増加した。純資産残高は6カ月連続で増加し、前月に続いて史上最大を更新した。純資産残高の増加額は前月の約4兆6317億円から大幅に増額した。「外国株式型」は増加額が約5兆597億円と前月の約3兆2515億円から大幅に増加。また、「国内株式型」が約1兆1459億円(前月は約3981億円)、「複合資産型」も約5980億円(同約4101億円)、「その他」は約3974億円(同約4570億円)の増加だった。一方、「国内債券型」は約67億円の減額と前月の約100億円の減額に続いて残高が減少した。「国内債券型」は2024年9月以来14カ月連続の残高減少が続いている。

資金流入額は約8800億円と前月の約1兆410億円からやや流入超過額が減額したものの、23カ月連続の資金流入超になった。資産別には「外国株式型」が約7780億円(前月約8930億円)の資金流入額と引き続き資金を集めている。一方、「国内株式型」は約240億円の資金流入となり前月の約250億円の資金流出超から逆転した。「国内株式型」が資金流入超過となるのは6カ月ぶり。

資産別の資金流出入額では、「その他」の流入超過額が約1670億円と急拡大し、「複合資産型」の約960億円を上回る水準となった。特に、金関連ファンドへの人気が流入超過額拡大をけん引している。三菱アセット・ブレインズは、金関連ファンドの人気拡大について「前月から当月中旬にかけて米ドル建て金価格の急騰と円安・ドル高の進行が重なり、円建て金価格が過去最高を更新したことが金関連ファンドへの資金流入を後押ししたとみられる」と分析。ただ、短期的な価格急騰は、投機的な側面を帯びやすいことには注意が必要だ。一般的に「安全資産」として扱われることが多い金(ゴールド)だが、昨今の価格上昇のスピードはかつてなく速い。三菱アセット・ブレインズでも「コモディティ投資に伴う価格変動リスクについては十分な説明が求められる」と販売会社に注意喚起を行っている。

 

流入額の第4位に日本株バリューファンドがランクイン

流入額上位20ファンドでは、トップ3は前月同様だった。トップの「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」(流入額2095億円、前月2051億円)以下、「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし、毎月決算型)」(同1433億円、1651億円)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(同1427億円、1148億円)だった。第3位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の流入額が第2位の「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし、毎月決算型)」に迫っている。

「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし、毎月決算型)」のパフォーマンスがやや横ばいとなり、資金流入額にも勢いが衰えていることに対し、10月は下旬に「S&P500」など米国の主要インデックスは史上最高値を更新する上伸となった。英国株や国内株など先進国の主要株価指数は軒並み史上最高値を更新する動きとなったため、全世界株式を投資対象とする「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」への資金流入も高水準を保っている。

流入額の第4位には10月22日に新設された「野村日本バリュー厳選投資」が1146億円の資金流入でランクインした。国内株式の新規設定額としては大きい約990億円という額になったのは、今年6月27日に新規設定された「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の影響が大きいと考えられる。「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の設定額は今年最大の約1520億円。国内株式型ファンドの新規設定額で過去3番目に高い設定額として話題になった。「早期償還条項付」は基準価額が25%上昇した場合は運用を安定型に切り替え償還してしまうという条件だった。株価上昇期待が強まってきたタイミングを見計らって設定されたファンドといえる。

この「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」が10月9日に基準価額が1万2745円となり、早期償還が決定した。12月5日に信託を終了する。設定からわずか3カ月半という短い期間で25%上昇を実現したファンドで利益確定した投資家が、国内株式の魅力を確認し、より長期の目線で投資する新ファンド「野村日本バリュー厳選投資」に期待を募らせる気持ちになるのは想像に難くない。

第5位には「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド D」(同945億円、738億円)、そして、第6位の「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(同942億円、535億円)が入った。これらパフォーマンスが堅調なファンドへの資金流入額も拡大している。また、「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」(同607億円、377億円)が「iFreeNEXT FANG+インデックス」(同570億円、458億円)を上回って第7位につけた。パフォーマンスの点では年初来の騰落率で好調な「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」をも上回る上昇率の「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」は、急速に人気を集めている。