絶対的リーダーである瑠衣ちゃんママからの誘い
リーダー格の瑠衣ちゃんママは、独身時代、ハイブランドの販売員として働いていたとかで、いつもセンスのいい服を身に付けています。長身でスタイルもいいので、私が着たらちぐはぐになってしまうようなファッションもよく似合い、グループのママたちの羨望の的でした。販売員出身だけあって弁も立ち、グループの決まりごとは瑠衣ちゃんママの意向に左右されることが多かったのです。
そんな瑠衣ちゃんママから「今日、これから時間ある?」と声をかけられたのは、昨年の今頃のことでした。グループは5人ですが、瑠衣ちゃんママには取り巻きのようなママが2人いて、私や結菜ちゃんママと直で話をする機会はあまりなかったので正直驚きました。
その日は特に予定がなかったため、幼稚園の近くに新しくできたカフェに向かい、子育てや夏の帰省話、さらにはアイドルの話などで盛り上がりました。「瑠衣ちゃんママって見かけより気さくな人なんだな」と思っていたら、いきなり切り出されたのが、なんと投資の話でした。
突然切り出された投資話
「莉子ちゃんママ、旦那さんがNISA(少額投資非課税制度)やってるって話してたよね? 莉子ちゃんママも投資に興味があるの?」
確かに、夫が新しいNISAの口座を作って“オルカン(全世界株式型の投資信託)”の積み立てをしているという話は、幼稚園のママ友の前でしたことがあります。でも、私自身は投資には興味がなく、むしろ、お堅い公務員の両親の影響で「株=ギャンブル」的な先入観があったため、いくら夫に「銀行に置いておいてもほとんど利息はつかないんだから、舞もNISAをやれば?」と言われてもその気になれませんでした。
「私は正直、あまり興味がなくて」と答えると、瑠衣ちゃんママは「でも一流企業に勤めてたし、それなりに貯金は持ってるんでしょ?」と意味ありげに尋ねてきました。
私は大学を卒業してから、今夫が勤務している会社の宣伝部で6年ほど働いていました。それほど給料が良かったわけではありませんが、自宅通勤で、これといった趣味もない地味系女子だったので、学生時代からの分と合わせて500万円以上の貯金がありました。
「私の貯金なんてスズメの涙ですよ」と言うと、瑠衣ちゃんママは目を輝かせながら、こんな投資話を持ちかけてきたのです。