年齢が上がるほど生活費は減少する傾向に

年代別に見ると、年代が上がるほど生活費が減少する傾向が見られる。特に75歳以上と65~69歳を比較すると、その差は顕著だ。

男性75歳以上では「30万円以上」と回答した割合が16.9%であるのに対し、男性65~69歳では26.8%と、9.9ポイントもの開きがある。女性においても同様の傾向が見られ、女性75歳以上では「30万円以上」が8.7%であるのに対し、女性65~69歳では27.8%となっている。その差は19.1ポイントにおよぶ。

この背景には、年齢が上がるにつれて食費が減ったり、外出の機会や趣味活動が減少したりするなど、消費行動そのものが変わる傾向にあることが挙げられる。

なお、85歳以上になると「不明・無回答」の割合が男性20.4%、女性19.0%と、他の年代と比べて顕著に増加しており、生活費の把握自体が難しくなっている可能性もある(男性65~69歳は9.5%、女性65~69歳は7.1%)。

調査結果を老後の生活設計に役立てる

調査結果は、これから老後生活を迎える人にとっても生活設計を立てる際に参考になるだろう。月の生活費は20万円前後が全体の中央値であるものの、家族形態や年代によって必要な生活費は大きく変わることを今のうちから意識しておくとよさそうだ。

また、調査では家賃・住宅ローンを含まない生活費を聞いている点にも注目したい。住居費を加えるとさらに月々の必要額は増加する。老後の資金計画を立てる際に気を付けたいポイントだ。

老後の生活費は、必要経費であるだけではなく、どのような生活を送りたいかという生き方の反映でもあるだろう。活動的な生活を望むなら多くの資金が必要になるが、シンプルな暮らしを選ぶことで支出を抑えることも可能だ。調査結果を参考に、自分らしい老後生活を考える契機としたい。

調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日