70歳までの就業確保措置、実施企業は3割
シニアの就業意欲に対して、企業側の対応はどうなっているのだろうか。同白書によると、従業員21人以上の企業(23万7052社)のうち、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%(23万6920社)と、ほぼすべての企業で対応している。
一方で、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業の割合は全体の31.9%(7万5643社)にとどまっている。特に従業員301人以上の大企業では25.5%とさらに低く、中小企業(21〜300人)の32.4%を下回っている。
70歳までの就業確保措置の内訳を全体で見ると、「継続雇用制度の導入」が25.6%と最も多く、次いで「定年の引き上げ」が2.4%、「定年制の廃止」が3.9%となっている。
シニアの高い就業意欲に対して、企業側の70歳までの就業確保措置はまだ3割程度にとどまっており、ミスマッチが生じている。特に大企業での対応が遅れている点は注目すべきだ。
また60歳以降に非正規雇用が急増する現状は、収入面や雇用の安定性において課題といえそうだ。特に女性は55歳以前から非正規雇用の比率が高く、高齢期の経済的自立においてより厳しい状況に置かれている可能性がある。
今後は「働けるうちはいつまでも」働きたいという意欲を活かす柔軟な雇用形態や、技能継承など、シニアの強みを生かした職域の開発も必要とされそうだ。
調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日