なぜ「今日よりも少ない物しか買えない」が正解なのか

この問題では、預金の金利は年1%で増えるが、物価は同様に2%上昇するため、実質的な購買力は1%減少することになる。つまり、1年後には今日よりも少ない物しか買えなくなるということだ。

例えば、年1%の金利で銀行に100万円を預けていたとすると、1年後には1万円増えて101万円になる(100万円×1%=1万円)。しかし1年後のインフレ率が2%ということは、物の値段が2%上がることであるため、今日100万円で買えたものを買うには102万円が必要ということになる。

投資経験者は未経験者に比べて金融資産額が多い傾向に

この結果から個人の金融リテラシーには投資経験や年齢による差がみられた。特に若年層や投資未経験者に金融知識が不足している傾向にあるようだ。

金利とインフレの関係を理解することは資産運用の基礎となる重要な知識だ。物価上昇が著しく、インフレ懸念が進む現在、預金だけでは実質的な資産価値が目減りする可能性がある。今後は一層、適切な資産運用の選択肢を検討することが大切になってくる。

前述どおり、同調査によれば投資経験者は未経験者に比べて金融資産額が多い傾向にあることが分かった。金融リテラシーを高めることは、適切な投資判断ができるようになることにつながり、将来の資産形成における重要な要素となるだろう。

●金利とインフレの関係は分かったが…分散投資について、本当はよく分からない? 後編「1銘柄の株式」VS「複数銘柄に投資する投資信託」、損益のブレが小さいのはどちらか? 正解者の割合は【回答者の年収も公表】にて詳報する。

調査概要 調査名:「令和6年リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」 調査主体:金融庁 調査実施期間:2024年1月~2月 有効回答者数:9722人(全国18歳以上、金融機関従事者除く)