「スイッチ」効果で業績拡大 今期は売上1.6倍も関税で増益小幅

続いて業績も確認しましょう。

任天堂は18年3月期から業績の拡大期に入りました。「ニンテンドースイッチ」の販売が伸び、売上高は1兆円を突破します。その後も増収が続き、営業利益は21年3月期に6400億円に達しました。

先述のとおり、「スイッチ」の販売は21年3月期がピークです。任天堂の業績も、以降は停滞します。なお、ポケモン社などの持分法投資利益や為替差益から、経常利益は比較的高い水準を維持します。

25年3月期は、ゲーム専用機の販売不振から売上高は前期比30.3%減と大きく落ち込みました。為替の利益が損失に転じたこともあり、各段階利益は同40%以上の減益となります。

任天堂の業績を表した図表(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:任天堂 決算短信より著者作成
 

次に業績の見通しです。今期(26年3月期)は大幅な増収を計画しており、売上高は前期比63.1%増を目指します。発売を開始した「スイッチ2」が貢献する想定です。

利益も増加を見込みますが、増加率は売上高より低水準です。利益の伸びが小さい理由は、米国の関税が数百億円のマイナス影響であること、売上高に占めるハードウェアの比率が高まること、「スイッチ2」本体の粗利率が「スイッチ」より低いことなどがあります。

【任天堂の業績予想(2026年3月期)】

・売上高:1兆9000億円(+63.1%)
・営業利益:3200億円(+13.3%)
・経常利益:3800億円(+2.1%)
・純利益:3000億円(+7.6%)
※()は前期比
※25年3月期時点における同社の予想

出所:任天堂 決算短信

任天堂の今後は、「スイッチ2」にかかっているといえるでしょう。好調な販売が確認できれば、株価にはさらに追い風となりそうです。第1四半期の決算は8月1日に公表の予定です。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)