これからのインデックス、キーワードは「カスタマイズ」?

今後、MSCIとしては、どのような種類のインデックスを増やしていくのか。現状、MSCIが日々算出しているインデックスの数はなんと28万。これだけの種類になると、もはや新しいインデックスを算出する余地はなさそうにも見える。

そんななか寺沢氏からは「カスタマイズ」というキーワードが挙がった。「MSCIは、昔から1つのベンチマーク、共通言語……そういうものを作るということに非常にエネルギーを注いできていて、もちろんそれも引き続き重要なビジネスだと思っていますが、一方で技術がめざましく発展する中で、いろんな方のニーズに合わせる、カスタマイズする能力というのも指数会社にとって今後、不可欠な要素になると考えています」。

カスタマイズと一口にいっても、いくつかのアプローチが考えられる。さまざまな資産クラス、運用手法の指数を組み合わせ、MSCIのような指数提供会社側が新たな「指数」として提供する方法もあれば、運用会社が指数をベンチマークに使い、マルチアセット型のファンドとして商品化するという方法もある。

さらに海外では「ダイレクトインデクシング」と呼ばれる手法も登場しているという。これは投資家が特定の指数をベースに投資する銘柄を選別したりウェイトを調整できたりするもので、米国では個人にも広く浸透している。日米での税制の違いもあり、日本での普及は未知数だが、インデックス投資のポテンシャルの高さを感じさせる事例と言えるだろう。

資産形成のメインストリームとなったインデックス投資。その今後の動向にこれからも注目したい。