構造改革プラン始動 リストラ・投資抑制で360億円コスト改善
赤字転落を受け、ロームは今期(26年3月期)からの3カ年を構造改革期間と位置づけました。主に次の4つの施策を通じ、29年3月期時点で360億円以上の利益改善効果を目指します。
【収益改善策による利益改善寄与額の見通し】
・生産拠点の再編(垂直統合生産体制からの一部脱却):100億円以上
・設備投資の圧縮:200億円
・人員数の適正化:20億円
・価格の適正化:40億円
※金額は29年3月期時点における25年3月期比の値
出所:ローム 決算説明会資料
生産拠点の再編は、SiC(炭化ケイ素)を除く国内外の13拠点で進めます。稼働状況の悪い拠点を対象に国内は集約、海外は移設または外注へ置き換える計画です。なお、SiCは再編の対象外としつつも、新たな装置の導入や稼働開始は延期します。
生産拠点の再編により、同社の特徴である垂直統合生産方式からは、一部脱却が進むこととなります。ただし、新しい製造ラインについて顧客から承認を得る必要があることから、移行には時間を要するとしています。
一方、設備投資の圧縮は今期から効果が発現する見込みです。対象はSiCが中心で、今期は全社ベースで850億円まで減少させます(前期は同1330億円)。設備投資の抑制は償却費の減少につながり、利益の増加が期待できます。
さらに、償却費は償却方法の変更でも削減させます。今期から定率法から定額法へ変更しており、償却費は今期に143億円減少する見込みです。
ロームは今期を最終年度とする中期経営計画の進捗中ですが、環境の悪化を受け財務目標の多くは未達に終わる見込みです。同社は上記のコスト削減策に取り組み、売上高5000億円および営業利益率20%の早期達成を目指します。達成に向けた具体的な内容は、今秋に公表する新しい中期経営計画で明らかにする予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)