最終赤字500億円、産機・自動車で需要が急減 AIブームに乗れず
次に業績を確認します。
23年3月期までは好調でした。自動車および産業機器向けで売り上げが伸長し、売上高は過去最高を更新します。3期連続の増収増益となり、営業利益は923億円に達しました。
苦戦は24年3月期に始まります。売り上げがFA機器(工場自動化機器)やエネルギーといった産業機械向けで急減し、25年3月期からは自動車向けでも減少しました。収益低下に伴う在庫評価損および減損損失も発生し、各段階利益はいずれも赤字となりました。自動車向けは電気自動車で成長が鈍化しており、ロームには逆風となっています。
半導体業界は好調というニュースをよく目にします。なぜロームは苦戦しているのでしょうか。
実は、半導体の好調は主にロジック(CPUなど)とメモリがけん引しています。背景にはAI需要の高まりがあります。一方、アナログICのほか、半導体素子といったIC以外の半導体は横ばいの傾向です。ロームは主力製品の市場が停滞していることが苦戦の原因となっています。
今期(26年3月期)は黒字に復帰する計画ですが、利益は低水準にとどまる見通しです。主力の自動車は関税の影響が懸念されるほか、産業機器も回復に時間を要するとの認識であり、厳しい環境が続くと予想します。なお、業績見通しに関税影響は織り込んでいません。直接的な影響は小さいとしつつも、為替や市況への影響は不透明と説明しています。
【ロームの業績予想(2026年3月期)】
・売上高:4400億円(-1.9%)
・営業利益:40億円(前期は401億円の赤字)
・純利益:70億円(前期は501億円の赤字)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想
出所:ローム 決算短信