テレワークとフレックスタイム制が両立支援の主軸に

休業・休暇や勤務時間短縮以外にも、企業は様々な両立支援措置を導入している。同調査では介護だけでなく育児との両立も踏まえた企業の支援策を聞いている。

結果、最も多く採用されているのは「テレワーク」で84.2%。集計152社のうち128社が導入していると回答した。次いで「フレックスタイム制」が70.4%(同107社)となっている。

出所:厚生労働省「令和6年労働時間、休日・休暇調査」

この結果は、コロナ禍を経て急速に普及したテレワークが介護と仕事の両立支援においても重要な役割を果たしていることを示唆している。また、時間的な柔軟性を確保できるフレックスタイム制も介護者にとって重要な支援制度として定着していることがうかがえた。

調査結果からは、多くの企業が法定を上回る介護支援制度を整備している実態が明らかになった。特に休業期間の長さや勤務時間短縮の柔軟性など、長期的な介護に対応するための制度設計が進んでいるようだ。

しかし、制度の充実度は企業規模や業種によって差があると考えられ、中小企業も含めた支援体制の普及が今後の課題となるだろう。また、制度の存在だけでなく、実際の利用しやすさや職場の理解も重要な要素である。

高齢化が進む将来に向け、仕事と介護の両立支援は企業の人材確保においても重要な要素となっていく。今後は介護離職を防ぐための支援制度のさらなる充実と、実効性のある運用が求められる。

調査概要 調査名:「令和6年労働時間、休日・休暇調査」 調査主体:厚生労働省 調査実施期間:2024年8月2日~9月12日 調査対象企業:380 社(資本金5億円以上かつ労働者1000人以上、介護事業所のみ運営主体が社会福祉法人である施設かつ同100 人以上)、うち回答企業数 231社(回収率60.8%)