「全財産を遺贈する」とんでもない契約条項を発見
すると、契約条項の中にとんでもない記載を発見したのです。
「叔母さん、ここに叔母さんに何かあった時にはこの会社に全財産を遺贈するって書いてあるけど、これ大丈夫?」
「え?」
キッチンでミートローフを切り分けていた叔母の手が止まりました。
「私、そんな説明は聞いてないけど」
慌てた様子の叔母に、契約書の後ろの方に小さな文字で書かれた項目をゆっくり読んで聞かせると、叔母の顔がみるみる蒼白になっていくのが分かりました。
「ひょっとして詐欺なの? まだ契約したばかりだけれど、クーリングオフ制度は使えるのかしら」
既に料金100万円以上を支払ったと言います。
こういう時こそ叔母の力にならなければと思いましたが、あいにく、この手のサービスは門外漢です。
その時に思い出したのが、司法書士をしている高校の同級生でした。昨年末の同窓会で久しぶりに会い、連絡先を交換したばかりだったからです。
叔母の家からスマホで電話をするとすぐに出てくれました。そして、その同級生から紹介されたのが、同じ司法書士で独居高齢者を支援している夏目さんでした。
●果たして専門家の夏目さんは叔母の問題を解決できるのか、そして曽根さんが知ることになった高齢者支援業界の驚くべき実態とは——後編【高齢者狙いの詐欺に気付き顔面蒼白に…悪徳業者による「全財産遺贈」契約から79歳叔母を守った人物の迅速な解決力】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。