曽根雅樹さん(仮名)は金融系のシステム会社に勤務する会社員。子供の頃からかわいがってくれた母方の叔母とは結婚後も家族ぐるみの付き合いをしていましたが、コロナ禍に続いて奥さんとの離婚騒動が勃発し、5年以上全く顔を合わせていませんでした。このゴールデンウィークに久しぶりに会った際、曽根さんはひとり暮らしの叔母がおかしな高齢者支援サービスの契約をさせられていることに気づきました。とはいえ、曽根さんはこの手のサービスに詳しいわけではありません。

そこで頼ったのが、高校の同級生に紹介されたある専門家でした。連休中にもかかわらず翌日には叔母の家に駆けつけ、迅速かつ適切な対応をしてくれたおかげで、叔母は大事に至る前にサービスを解約することができました。「高齢者向けの犯罪が増えているとは聞いていたが、まさか自分の叔母が罠にかかるとは思わなかった。自分だけでは解決できなかったので専門家の手を借りられて本当に助かった」と話す曽根さんに、事の経緯を話してもらいました。

〈曽根雅樹さんプロフィール〉

東京都在住
52歳
男性
会社員(管理職)
大学生の二男と2人暮らし
金融資産3500万円

「自分のことは自分で完結する」独身の叔母

今年のゴールデンウィーク、何年かぶりに叔母の家を訪ねました。

叔母は亡くなった母の妹で、この9月で80歳になります。専業主婦だった母とは違い、叔母は化粧品会社の一般職として定年まで勤め上げました。母が結婚して家を出た後は病気がちだった祖母の面倒を見ていたこともあり、今に至るまでずっと独身です。

叔母には私も2つ下の妹も、大変世話になりました。叔母は多趣味で身に着ける物のセンスもよく、子供の頃は叔母から届く誕生日やクリスマスのプレゼントが楽しみでした。開業したばかりの東京ディズニーランドに連れていってくれたりもしました。

そうやって私や妹をかわいがってくれた半面、叔母にはどこか、母や私たちとは線を引いたところがありました。

私や妹が麻疹やインフルエンザにかかった時は仕事を休んで駆けつけてくれたのに、自分が盲腸の手術で入院しても退院するまで教えてくれませんでしたし、母も「何かの保証人になってほしいとか頼まれたことは一度もない」と話していました。思うに、母に心配をかけたくなくて、「自分のことは自分で完結する」と心に決めていたのだと思います。

とはいえ、私の大学受験や就職の際は、いろいろと干渉してくる母に対し、叔母は「まあちゃんのやりたいようにやればいいじゃない」と背中を押してくれました。私は口うるさい母よりも叔母とうまが合い、家庭を持った後も妻や子供たちを連れてよく叔母の元を訪れていました。