◆下落局面で見直される「のむラップ・ファンド」の底力
米国株価が大きく下げた4月の市場環境の中で、バランス型の「のむラップ・ファンド」の評価が上がった。おそらく、「のむラップ・ファンド」は中長期に積立投資等で活用されているものと考えられる。「のむラップ・ファンド(普通型)」は、内外株式や世界REIT(不動産投信)への投資比率が約50%(組入れ上限は75%)、国内外の債券への投資比率が約50%という配分比率で運用し、安定的な運用成果を求めつつも資産の成長も狙っている。2012年5月の設定来2025年4月末までの平均年率リターンは6.6%、平均年率リスクは10.0%になっている。「のむラップ・ファンド(積極型)」は株式やREITへの投資制限がなく、文字通り積極的にリターンを狙っていく運用を行う。実際の運用では、株式やREITへの投資比率は約80%で、内外債券に20%程度という配分の運用を行ってきている。設定来の年率平均リターンは8.9%、年率平均リスクは13.0%だった。
4月の急落局面で「eMAXIS S&P500インデックス」は一時、2024年12月末比で23.12%安という水準にまで下落した。その時点にあっても「のむラップ・ファンド(普通型)」の下落率は11.10%にとどまり、「のむラップ・ファンド(積極型)」でも下落率は16.04%だった。その後、急速に価格が戻って、4月末時点では2024年12月末比で(普通型)は6.75%安、(積極型)は9.49%安になった。「S&P500インデックス」が4月末時点で15.85%安に沈んでいる中にあっては下落率が1ケタ台に復したことには投資家は相当安堵(あんど)したことだろう。また、この成績は今年1月から投資を開始した投資家にとっては、「eMAXIS S&P500インデックス」に投資するよりも「のむラップ・ファンド」に投資した方が、4月末時点では、よりよい運用成績を得られたということになる。
今後も貿易交渉の結果次第では、世界の株式市場が不安定な状態が続くことも考えられる。債券も含めた幅広い資産に分散投資するバランス型ファンドにも改めて注目していきたいところだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩