素材事業の黒字化で回復、経常益1600億円 機械と電力も貢献

次にこれまでの業績を確認しましょう。

神戸製鋼所は2020年3月期まで厳しい経営環境が続きました。2017年3月期は建設機械の苦戦を主因に2期連続の純損失となり、2020年3月期はチタン事業の収益性の低下に伴う引当金計上などから再び最終赤字に転落します。

以降は大きく回復しています。経常利益は2023年3月期に8期ぶりの1000億円台に達し、2024年3月期には1609億円を計上しました。純利益も2024年3月期は1095億円と、17期ぶりに1000億円台を回復します。

 
出所:神戸製鋼所 決算短信より著者作成
 

業績の回復は素材ビジネスがけん引しました。機械ビジネスが堅調に推移するなか、鉄鋼やアルミが黒字化し利益を押し上げました。また電力も、発電所が4基に増えたこともあり、利益貢献が強まっています。なお、電力の2024年3月期の経常利益858億円のうち、420億円は一過性(燃料調整費の期ずれ、貿易統計価格と購入価格の差異)です。

 
出所:神戸製鋼所 統合報告書より著者作成