PBR 0.54倍 2023年に急騰も割安感
神戸製鋼所の株価は2023年に大きく上昇しました。2024年3月には2186.5円の高値を付けます。当時の決算で利益の拡大が認知され、投資家の期待が集まったと考えられます。
足元は高値から調整しており、現在は1600円台での取引です。とはいえ、株価水準は大きく切り上がっており、5年前の4.9倍に達します。また2025年初来では3.2%プラスの水準で推移しています。米トランプ大統領による相互関税の公表で一時1446.5円まで売られたものの、値動きはおおむね堅調です。
【神戸製鋼所の株価チャート(過去5年間)】
・株価:1630円(2025年4月24日終値)
株価は好調ですが、純資産から見るとまだ割安感もあります。PBR(株価純資産倍率)は0.54倍と、株主の持ち分である純資産の半分ほどしかありません。これは分かりやすく例えると価値100円の商品が54円で売られているのと同じ状況です。
【神戸製鋼所のPBR(2025年4月24日終値)】
・純資産:1兆1889億円
・1株あたり純資産(自己株式除く):3016円
・PBR:0.54倍
・(参考)東証プライムPBR:1.3倍(2025年3月)
※純資産および株式数は2024年末
※東証プライムPBRは加重平均
出所:神戸製鋼所 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料
鉄鋼業界の経営環境は厳しさが増しており、株価の低評価の一因となっていると考えられます。しかし、神戸製鋼所は単なる鉄鋼メーカーではありません。利益構成は、実は鉄鋼以外のビジネスが多くを占めています。ほかの鉄鋼株と同じように考えていると判断を見誤るかもしれません。
今回は神戸製鋼所に焦点を当て、同社の事業内容と業績を解説します。