減益傾向も、24年度は純利益4倍の大幅回復を予想 25年度も高成長を見込む

最後に業績の推移を確認しましょう。2024年3月期までの10期は売り上げがおおむね横ばい、利益は減少傾向です。

2024年3月期は営業利益が前期比47.1%減、純利益は同69.9%減と、大幅な減益でした。炭素繊維において、風力発電翼用途の需要低迷に伴う減損が生じたことが主因です。なお、非経常的な損益を除いた事業利益ベースでは堅調でした。

 
出所:東レ 決算短信より著者作成
 

2025年3月期は大幅な増益を見込みます。第3四半期までの累計は営業利益で前年同四半期比45.5%増、純利益で同64.6%増と大きく回復しました。

セグメント別では、特に機能化成品が伸びています。樹脂・ケミカルは国内で自動車向けが苦戦したものの、中国やアセアンで非自動車用途が好調でした。フィルムは在庫調整の反動から需要が伸長したほか、電子情報材料も好調でした。各セグメントの事業利益は、ライフサイエンスを除き、いずれも2ケタの増益です。

通期では事業利益で前期比41.3%増、純利益は同301.9%増(約4倍)を見込みます。純利益の増益は、前期に計上した減損のはく落も影響します。

【東レの業績予想(2025年3月期)】

・売上収益:2兆5900億円(+5.1%)
・事業利益:1450億円(+41.3%)
・純利益:880億円(+301.9%)
※()は前期比
※同第3四半期時点における同社の予想

出所:東レ 決算短信

本決算は5月14日に公表の予定です。なお、東レは3カ年の財務目標として2026年3月期に事業利益で1800億円を掲げました。計画どおりなら2025年3月期の予想比で24.1%増と、高い成長が続くこととなります。

着地も気になりますが、本決算では2026年3月期の見通しが関心を集めそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)