PBR 1倍割れ解消のカギは「ROIC」 好採算の水処理事業を拡大

東レはPBR 1倍割れを解消する方法として、ROIC(投下資本利益率)の改善を掲げます。対資本で収益性を向上し、投資家の支持につなげる狙いです。全社ベースの実績は2024年3月期で2.8%、これを2026年3月期までに約5%まで上昇させます。

ROICのけん引が期待されるのが環境・エンジニアリング事業です。水処理事業のROICが2ケタと好採算で、事業セグメント別で最もROICが高くなっています。海水淡水化はプラントの増加に伴い交換需要が拡大しているほか、下廃水再利用は工業や農業を中心に需要が年率6~7%で増加しています。

【セグメント別のROIC(2024年3月期)】

・繊維:6%
・機能化成品:4%
・炭素繊維複合材料:2%
・環境・エンジニアリング:8%
・ライフサイエンス:-2%
・全社合計:2.8%
※ROIC=税引前事業利益÷投下資本(期首・期末平均)

出所:東レ 統合報告書

水処理事業はソリューション型ビジネスへの展開を目指します。膜周辺技術を活用し、設計からアフターフォローまで受注前後のサービスを提供し、収益機会を拡大します。

また、新用途の展開にも取り組みます。食品やリチウム回収などの分野で水処理膜の優位性を訴求し、新事業の開拓を進めます。