FRBによる利下げはいつになる

ここで注目されるのがFRBの利下げはいつになるのかです。これまでパウエル議長は様子見の姿勢を決め込んでいました。そもそも米国のFRBはデュアルマンデートつまり、物価の安定と雇用の最大化という2つの目標を立てて金融政策を進めています。

出所:内田氏

ですから、インフレが心配であれば、利下げの回数は減り、インフレが心配であれば長期金利は上がっていきます。長期金利は期待インフレ率が高まると上昇します。また利下げの回数が減るということは、先々の政策金利の水準の見通しも上がることになり、長期金利の上昇とドル高につながります。一方で景気が心配であれば、利下げの回数が増し、長期金利が低下し、ドル安をもたらすことになるわけです。

こうした背景から、パウエル議長も3月のFOMCでは利下げについては急がないといった発言をしていました。ですからマーケットの見方もどちらになるのか定まりにくかったわけです。ただ先にご説明した通り、足元では景気の方が心配だという方向に完全に傾いており、利下げの織り込みが高まっています。

さて、先のパウエル議長の話題に話を戻すと、パウエル議長の前回会合での発言により、次回の5月6日、7日に行われるFOMCでの利下げが排除されました。ただ、ウォールストリートジャーナルで経済や金融政策についての報道に携わっているニック・ティミラオスという記者がFRBのいわばスポークスマン的な役割を担っています。今後例えば株安が止まらない状況でニック・ティミラオス記者が「FRB、次回FOMCで利下げを検討へ」というような見出しの記事を出す可能性もあると考えられます。

いずれにせよ、これまでのマーケットトークでは米国の利下げは早くて6月だとご案内していましたが株価の動向次第では利下げが早まる可能性も少し出てきたのではないかと言えます。