4月2日、トランプ大統領が相互関税の税率の詳細を発表しました。10%の一律関税に加えて国ごとの税率も加える仕組みです。日本の場合、上乗せが24%になります。

出所:内田氏

国によっては40%台の国もあり、総じて想定以上の税率の高さであり、世界的に株安が進んでいます。さらにISM非製造業景気指数も予想を下回り、ドル円も145円台前半まで下落しています。明日の雇用統計を前に現時点で5つのポイントをまとめておきます。

まず米国の株価と長期金利の関係について見ていきましょう。24回のマーケットトークでは米国でスタグフレーションが警戒されることによる株価の下落、そしてインフレ懸念による長期金利の上昇の組み合わせが起こることを市場は警戒しているとお伝えしました。

出所:内田氏

一方、足元では株安に加え、長期金利が大きく低下しています。これはマーケットがインフレを警戒しているものの、景気の悪化をより重視していることの表れです。こうしたなかでリスク回避姿勢も強くなっており、特に安全資産とされる米国債が大きく買われて金利が低下している側面もあります。

ですから足元の状況は先週から大きく変化しており、端的に言えば米国の景気そのものに対する懸念が深まったという状況です。

関税をかけると当然、報復関税によって米国の輸入品の値段も高くなり、消費者もあおりを受けるのではないか、関税をかける結果、米国の産業の競争力がかえって削がれてしまうのではないか、など4月4日に米国内でも経済界からトランプ政権に対する失望を表明する声明がいくつも発表されています。