金利上昇と株価変動のメカニズム

今週は世界的に金利が上昇しました。米国では年初から株式市場が好調でしたが、金利上昇により株価の上昇が抑えられています。日本でも金利が上昇し、今週後半に株価が下落するという状況がありました。基本的に金利が上昇すると株価が下落すると考えられがちですが、その理由として以下が挙げられます。

まず、①金利上昇により企業の利払い負担が増加することと、②金利上昇によって景気が悪化し企業収益が悪化するという見方があります。そして、金利が上昇すると、③安全資産とみなされている国債でも相応の金利収入が得られるため、あえてリスクを取って株式を保有する必要性が低下するという見方も強くなります。これにより、金利上昇時には株式の相対的な魅力が後退して売られる傾向があります。

(出所)内田氏

ただし重要なポイントは、金利上昇はインフレが発生している、あるいは発生が予想される際に起きやすく、そのインフレは一般的に景気が良好な時期に発生する現象であるということです。つまり、金利上昇は景気の好調さの裏返しでもあるため、必ずしも金利上昇が株価下落に直結するとは限りません。

2000年代以降の米国の政策金利とS&P500の推移を見ると、利上げ局面は複数回ありましたが、その間常に株価が下落していたわけではありません。トレンドとしては米国株式市場は継続的に上昇してきており、金利上昇が即座に株価下落につながるという見方にとらわれる必要はないと考えられます。