インデックスファンドもさまざまな経費はかかるので運用資金が重要

こうしてコスト引き下げ競争に参戦したものの、運用資金が集まらず、撤退していく運用会社がこれから増えていく可能性は否定できません。年間の収入が数十万円では、そのファンドを運用し続ける限り、少なくともそのファンドの収支は単体では赤字になります。

「インデックスファンドはリサーチが不要だから、ローコストでも大丈夫」などと言われますが、インデックスファンドも、たとえばS&P500に連動するタイプなら、S&P500を算出している会社に対して、インデックスの使用料を払わなければなりませんし、そのインデックスにしっかり連動させるために必要なシステムや、ポートフォリオを管理するファンドマネジャー、組入銘柄の売買コスト、ファンドの監査費用など、さまざまな経費が必要です。

これらの経費を賄ったうえに、さらに運用会社として利益を生み出させるためには、一にも二にも運用資金を集めなければなりません。

しかし、現状S&P500とオール・カントリーに関しては、日本国内の公募投資信託では三菱UFJアセットマネジメントが圧倒する構図になりつつあります。一方で資金が集まらず、赤字のままのファンドは運用継続が困難になる可能性も否定できません。そして、その先に待ち受ける「繰上償還」になってしまったら、その資金は三菱UFJアセットマネジメントのS&P500とオール・カントリーへと流れ、ますます同社の2ファンドの純資産総額は大きくなることも考えられます。

S&P500とオール・カントリーの2大インデックスに限定して考えると、この先eMAXIS Slimシリーズの対抗馬になりえそうな存在は、今のところ見当たらず、その意味においてコストの引き下げ競争も、そろそろ一段落を迎えるのではないかと思うのです。