16年ぶりに投信純資産総額の記録が塗り替えられた!
すでに方々で取り上げられているように、三菱UFJアセットマネジメントによって設定・運用されている「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産総額が、10月28日時点で、ETFを除く公募型投資信託のなかでは過去最大の純資産総額になりました。その額は5兆7696億円で、過去において最大だった「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(グロソブ)の5兆7685億円を抜いたのです。
これまでのレコードホルダーだった「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」を設定・運用していたのは国際投信投資顧問でしたが、同社は2015年に当時の三菱UFJ投信と合併。三菱UFJ国際投信になった後、2023年10月に商号変更され、現在の三菱UFJアセットマネジメントになったという経緯があります。
その意味では、元国際投信投資顧問が打ち立てた最大純資産総額の記録を、国際投信投資顧問の血を引く三菱UFJアセットマネジメントが塗り替えたことになります。
これは以前、別の経済誌にも書いたことなのですが、国際投信投資顧問にはどうやら、エポックメイキングなファンドを生み出すDNAのようなものがあると感じることがあります。
たとえば1990年代の前半においては、国際投信投資顧問の前身である国際投信によって設定・運用されていた「長期国債ファンド(愛称:トップ)」が、同社の積極的な販売プロモーションによって、人気を博しました。「トップ」は当時の国内投信会社が業界統一商品として運用していたのですが、なかでも国際投信が頭一つ、突き抜けていたことを覚えています。
しかし、長期国債を組み入れて運用する同ファンドの優位性は、1990年代半ば以降の超低金利時代を迎えるにあたって、徐々に失われていきました。
当時、バブル崩壊の不況によって超低金利下にあった日本ですが、海外の金利は比較的高く推移していました。その相対的に高い海外金利を活用して、組入債券から得られる利金を中心に毎月決算、分配を行う仕組みで登場したのが、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」でした。