eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が信託報酬率の引き下げ実施へ
三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用する「eMAXIS Slimシリーズ」の勢いが止まりません。
2023年9月には、同シリーズのうち「全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬率を年0.05775%に引き下げ、2024年10月には「米国株式(S&P500)」の純資産総額が、それまで過去最大だった「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の5兆7685億円を抜き、公募型投資信託のなかでは過去最大の純資産総額になりました。ちなみに1月10日時点における「米国株式(S&P500)」の純資産総額は、6兆7074億円です。
1月9日のリリースによると、年初第3営業日目の両ファンドの設定は、1日で3100億円超となり、前年を大きく上回っています。さらに、この勢いに乗じるかのように、「米国株式(S&P500)」の信託報酬率を、1月25日から引き下げ、従来の料率である年0.09240%~0.09372%から、年0.07568%~0.08140%になります。
なぜ、ここまで信託報酬率を下げられるのかというと、ほぼ一人勝ちの状態になっているからです。
eMAXIS Slimシリーズの「全世界株式(オール・カントリー)」がベンチマークとしているMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスや、「米国株式(S&P500)」がベンチマークとしているS&P500への連動を目標としたインデックスファンドは、三菱UFJアセットマネジメント以外の運用会社も設定・運用しています。
そして、いささか乱暴な言い方になりますが、同じ株価インデックスをベンチマークにするインデックスファンドであれば、運用会社が違ったとしても、運用成績にそれほど大きな差は出ません。
要するにインデックスファンドは、コモディティ化しているのです。
そうである以上、差別化要因は価格になります。投資信託にとっての価格は、購入時手数料や信託報酬などのコストです。このうち、購入時手数料は今や大半の投資信託がノーロード化しているため、価格での勝負は信託報酬率の引き下げ競争に収れんしていきます。
そして、これまで多くの運用会社が、インデックスファンドを中心にしてコスト引き下げ競争を繰り広げてきました。が、それもそろそろ終わりに近づきつつあるのかもしれません。