オール・カントリーやS&P500インデックスファンドは「ウィナー・テイク・オール」の様相に!?

そのように考える一番の理由は、少なくともS&P500と、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目標とするインデックスファンドに関しては、前述したように、三菱UFJアセットマネジメントが一強状態に入りつつあるからです。

たとえばS&P500への連動を目指すインデックスファンドの信託報酬率を比較すると、現時点での最安はブラックロック・ジャパンが設定・運用する「つみたてiシェアーズ米国株式(S&P500)インデックスファンド」の年0.05860%です(ただしこの料率は2026年5月7日までで、それ以降の料率は年0.09072%に引き上げられます)。

それ以外だと、ステート・ストリートが設定・運用する「ステート・ストリートS&P500インデックス・オープン」の年0.07480%、楽天投信が設定・運用する「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」の年0.07700%……ここに前述したeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が年0.07568%~0.08140%の新料率を提示したわけです。

こうした低コスト・S&P500インデックスファンドの純資産総額を比較すると、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は他社を引き離しつつあります。上記のなかでeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に次いで、純資産総額が多いのは楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドの4484億5500万円(1月10日時点)となっています。これに対して、eMAXIS Slimの「米国株式(S&P500)」の純資産総額が6兆7074億円。

年初第3営業日目の1日で1000億円超の資金流入があるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、資金を集める力が全く異なります。そして、コモディティ化したインデックスファンドの信託報酬引き下げ競争は、最終的に勝者が全てを得る「ウィナー・テイク・オール」の状態をつくりあげる可能性もあります。

eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の運用会社が得る信託報酬率は年0.03080%ほどで(引き下げ実施後)、この数字に純資産総額をかければざっくりとした収入を計算できるわけですが、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の場合、6兆円で不変だとすると、1年あたり18億円超が得られます。

他の商品を同様に計算すれば、数億円から少ないものでは数十万円のものまであります。純資産総額が数兆円規模に増えなければ、中長期的には厳しいビジネスになってしまうのです。