2024年もいよいよ年の瀬。
この1年間、投資信託業界でもさまざまな出来事がありましたが、そのうち大きなものとしては以下の3つが挙げられるでしょう。
1.NISAの制度見直し
2.インデックスファンドの隆盛
3.投資信託会社の事業継続性
それぞれについて簡単に解説していきたいと思います。
まずNISAの制度見直しです。これはさまざまなメディアでも触れられたので、改めて仕組みについて解説する必要はないと思いますが、生涯非課税枠が1800万円まで拡大されるのと同時に、制度の恒久化、非課税期間の無期限化が実現し、NISAの利用者、利用額は大きく伸びました。
金融庁が定期的に公表している「NISA口座の利用状況に関する調査」を見ると、2023年の1年間で開設された口座数は、一般NISAが約76万口座、つみたてNISAが約248万口座で、合計約324万口座でした。
それが2024年1月にNISA制度の見直しが行われて以降、6月時点までの半年間で開設された口座数は、成長投資枠とつみたて投資枠の別は公表されていませんが、合計で約300万口座です。残り半年間でどの程度、口座が開設されたかについてはまだ先の公表になるので、何とも言えませんが、口座開設のペースが一気に加速したと考えられます。
ちなみに買付額で見ると、2023年1年間では一般NISAが3兆5409億円、つみたてNISAが1兆6972億円であるのに対して、2024年の半年間の買付額を見ると、一般NISAの流れをくむ成長投資枠は7兆9163億円、つみたてNISAの流れを汲むつみたて投資枠は2兆2178億円なので、明らかにNISAを通じての買付額は増えています。少なくとも2024年6月までの数字を見る限り、NISAの制度見直しは成功だったと言えるでしょう。
一方、日本証券業協会が公表している、証券会社10社の統計によると、2024年中におけるNISA口座開設件数は、1月が73万口座だったものの減少を続けています。月末時点における口座数推移の前月比は、
2月:3.99%
3月:3.19%
4月:1.51%
5月:1.69%
6月:1.47%
7月:1.18%
8月:1.49%
9月:0.77%
10月:0.76%
大手証券会社10社の数字なので、全体像を示しているわけではありませんが、傾向は見えるでしょう。月を追うごとに、増加率は低下しています。
なお、6月末時点のNISA口座数は全体で2425万2356口座でした。2024年6月時点における20歳から59歳までの人口は、約6077万人ですから、もっとNISA口座が増えても良いはずです。その意味で、月を追うごとにNISA口座の開設数が低下しているのは、いささか心配でもあります。