iDeCo「5年ルール」改悪が波紋 「10年」に拡大で課税強化
iDeCoをめぐっては「5年ルール」の改正が話題です。5年ルールとは、iDeCoと退職金の双方から一時金を受け取るとき、iDeCoを退職金より5年以上先に受け取れば、退職所得控除をどちらも満額で計算できる仕組みを指します。
退職金とiDeCoの一時金は、どちらも退縮所得控除額を差し引くことが可能です。しかし両方を受け取るとき、両者の勤続年数に重複期間がある場合、退職所得控除額が減少される場合があります。
ただし一定の場合は、重複期間がないものとして計算できます。その1つが先述の5年ルールです。iDeCoを退職金より5年以上先に受け取れば、たとえ重複期間があったとしても、退職所得控除額はそれぞれの勤続年数で個別に計算できます。
この5年ルールが改正される見込みとなりました。令和7年度税制改正大綱に、5年ルールを10年に引き延ばす案が盛り込まれたためです。
つまり60歳でiDeCoを一時金で受け取る場合、従来は退職金の支給が65歳以降なら退職所得控除を満額適用できました。これが70歳以降に延長されたのです。退職所得控除を満額適用できない人が現行より増える改正ですから、増税の方向となります。
5年ルールの改正は2026年1月以降に適用される見通しです。退職金は企業の7割で導入されており、多くの人に影響が出ると考えられます(出所:厚生労働省 令和5年就労条件総合調査)。
優先度はNISAが高い iDeCoは税金のバランスがポイント
iDeCoの加入は、拠出時と受取時の税負担のバランスを考えることが大切です。受取時の負担の方が大きくなることが想定される場合、加入を見送ることも選択肢です。
一方、NISAは受取時に課税されることはありません。仮に資産が元本から数倍に成長していても、税の負担なく、額面どおり受け取れます。
このことから、優先度は多くの人でNISAの方が高いと考えられます。iDeCoは論点が複雑で、NISAと比べると加入の判断は難しくなります。iDeCoの方が有利な人もいるはずですが、その判断がつかないならNISAを優先した方が無難です。
とはいえ、iDeCoの拠出時の所得控除は魅力的です。わからないからといって、加入を見送るのは早計かもしれません。もし自身で判断できない場合、専門家へ相談することもおすすめします。