繰上返済をする理由、「早く返したい」から「資産形成のため」へ

次に、住宅ローンの繰上返済をした理由についてお伺いしました。理由として、①“利息を減らしたい”や“返済期間を短縮したい”、“当初の返済スケジュールよりも効率的に減らしたい”といった「早期返済起点」の理由、②“「住宅ローン」の心理的負担から早めに解放されたい”、“できるだけ早めに完済し、自身の完全所有物にしたい”といった「心理的起点」の理由は、足元10年(住宅ローンの借入時期:2014年~2023年)で大きく減少していることが分かりました。

一方で、「できるだけ早めに完済し、資産運用に充てる資金を増やしたかったから」の選択割合が増加しており、住宅ローンの返済と資産形成の両立を意識している層が増加していることが、結果から伺えました。

【図表3】住宅ローンの繰上返済をした理由(住宅ローン借入時期別/複数回答可)

*回答者:住宅ローン利用経験者
*回答者数:<~1993年>229、<1994年~2003年>510、<2004年~2013年>317、<2014年~2023年>168
*各年代の回答総数に対する各選択肢回答数の割合にて算出

住宅ローンの繰上返済をすることで、毎月の返済額が減少する(もしくはなくなる)、借入期間が短縮される、将来支払う予定であった利息額が減少するなどの効用が生じることが考えられます。では、これらはファイナンシャル・ウェルビーイング度※向上に寄与するのでしょうか。次回は、その点について確認してみたいと思います。

※「ファイナンシャル・ウェルビーイング」とは、自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることによって、現在及び将来にわたって、経済的な観点から一人ひとりが多様な幸せを実現し、安心感を得られている状態を指す。

●住宅ローンの繰上返済とファイナンシャル・ウェルビーイング度の知られざる関係は、次回記事【住宅ローン返済】負担を“全く感じない人”と“かなり感じる人”、両者を分ける決定的な違いは何かで詳説します。